2021年5月16日日曜日

特別展「横浜の仏像」⑱(太寧寺薬師如来)


 仏の瀬谷さんの本で紹介された太寧寺薬師如来にずっと会いたかったがこの「横浜の仏像」展で奇しくも実現した。山本館長の講演では善光寺式阿弥陀如来と清凉寺式釈迦如来の合体応用仏として当時の流行が横浜にも来ていた。ほとけの瀬谷さんの図録解説によると「へそ薬師」と呼ばれ村娘より糸玉の「くりへそ」を購入した僧が薬師如来だったという伝説がある。鎌倉時代中期の仏像で頭部は髪を同心円状に表す清凉寺式で、袈裟を両肩にかけて通肩善光寺式阿弥陀の合体仏だ。いっぽう印相は手を腕前に掲げる薬師如来特有のものとなっている。この仏像製作の意図についても瀬谷さんの解説によると清凉寺式と善光寺式の生身仏思想により生身薬師の造像を意図して造立されたという。山本館長の講演にもどると太寧寺薬師如来のひみつと題し両目の裏にはめ込んだ板の表側に天平写経の「目」字紙片を貼っていることも実物の仏像の裏側の写真のスライドで紹介された。講演後半になっても山本節は勢いをまして圧倒されながら講演を聞き入っていた。

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