2012年12月22日土曜日

東京国立博物館140周年特集陳列館蔵仏像名品選⑤

東博仏像名品選では仏像をより近くに感じられる露出展示と、ガラスの存在を忘れさせるほどきれいなガラスケースに収まった展示方法がある。川端龍子氏寄贈のこの毘沙門天はガラスケースでの展示だった。四天王のうちの多聞天は単独で祀られるときは毘沙門天と呼ばれ、片手に宝塔を捧げ持つ姿につくられており、表面の美しい装飾がみどころだ。緑・青・橙(だいだい)・赤などの彩色の上に金箔を細く切ってさまざまな文様を表しているいわゆる截金技法(きりがねぎほう)だ。このような華麗な装飾は平安時代後期の仏像や仏画でもちいられる。堂々とした造形からも、一流の仏師の作だろう。玉眼の使用からもうなづける。この仏像は奈良県の廃寺中川寺にあったと伝えられる。装飾の細かい技を見るならばやはり東博の展示にかぎると思った。


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