2011年10月9日日曜日

高野山と紀州の仏像めぐり⑥(浄教寺の大日如来)

今回の夏の旅行を紀州に決めたのは例の見仏記を読んだからだ。お寺に連絡したら親切にも駅まで迎えにきてくださるとのこと。JRの藤波駅でお寺の奥様にお会いし、浄教寺に向かった。車中で見仏記の話題になり、いとうせいこう氏をせいこと言う女性と間違えた本人だった。境内に入るとりっぱな収蔵庫があり中の左手に鎌倉時代作の大日如来坐像がまつられていた。この仏像は快慶流とも言われているが、印はくまずに両手を膝の上に置いている形。しかし、大変残念なことにその手の先は崩れてしまっていた。大日如来は唇を少し突き出したように閉じ、腕は若々しく細いが腹はたっぷりしていた。見仏記では快慶的アニメ風の顔と言っていたが、私のは快慶と少し違うなと感じた。耳たぶがまっすぐ降りる耳の形状は運慶とその周辺の仏師の手によるとの山本勉先生の説を支持する。この仏像はかの白洲正子が好きな「明恵」の寺、旧最勝寺からの客仏とのこと。謎が多い仏像との出会いだった。

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