2024年5月4日土曜日

吉野奈良仏像探訪記②(興福院阿弥陀三尊)


吉野奈良仏像探訪の2日目、初めて拝観する興福院へ向かった。興福院は創建当初尼辻にあり聖武天皇の御学問所を天平勝宝年間に和気清麻呂が賜り弘文院という一族のための学校とした跡で本尊は丈六の金銅薬師如来と伝えられている。三門を入ると季節の花がよくて入れされた庭に咲き乱れ、苔も手入れ中だが青さが眩しく手のよく入ったいかにも尼寺らしい庭が迎えてくれた。拝観入口で本堂拝観と茶室拝観、抹茶の振る舞いで三千円取られたが、襖絵も素晴らしく、抹茶もお手前も古都らしい饗応だった。仏像は天平時代の趣を残した木心乾漆造。後補はあるが、説法印を結んだ中尊と、上体を中尊の方に傾けてそれぞれ外側の脚を踏み下げた半かふざの脇じの姿は、天平末期造形の一つの典型といえるだろう。素晴らしお寺に出逢えたことに感謝し、静かにお寺を後にした。

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