特別展「東福寺」④(万寿寺の金剛力士像)
三聖寺から東福寺に伝えられた鎌倉時代の伝運慶の金剛力士像である。運慶研究の第一人者山本勉氏は四天王の多聞天については運慶作品の可能性を示唆しているが、同じ東福寺金剛力士像についての言及はなかった。ニコ生美術館でしつこいほど出品作三聖寺古図で説明していたが、南に描かれていた、山門に安置されていた仏像だ。写実的筋肉表現、迫力ある形相、動きのある体勢など慶派仏師の特色を示す。通常南面する門の左側に阿形像、西側に吽形像が置かれるが、この像は逆である。その点は東大寺金剛力士像と共通する。ただし顔の向きからして、二躯は南を正面して置かれたとみられ、門の両側で向かい合って置かれる東大寺像と異なる。展覧会の最後に置かれていたので少ししか見なかったが、なかなかの出来栄えから運慶の息子や弟子の作品であろう。
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