特別企画 大安寺の仏像②(伝聖観音)
東博で開催された大安寺の仏像展は昨年開催された「大安寺のすべて」展を意識した展示となっていた。奈良博では作品保護のため薄暗い照明となっていたが、東博でスポットライトを仏像にあてて、大安寺の仏像の特色である細かい胸飾りがはっきりと見えて、仏像の魅力を最大限に引き出した展示となっている。また台の上の展示のため像高180センチ前後の大安寺の仏像を仰ぎ見る展示もよかった。ニコニコ美術館で踏割蓮華座をセグウェイと騒いでいた聖観音も胸飾りがすばらしくおもわず拡大写真を撮ってしまったほどだった。頭部から足元の楕円形踏む板まで一材から彫りだす一木造りで肩幅が広く胴は締まり、堂々とした体つきに表されている。胸や腕の飾りも同じ木から彫りだし、装飾性に富んだ華やかな表現は奈良時代の特色とのこと。腰に付けた裙の折り返し部分や脚部の間に衣の縁を細かく折りたたみ,脚部の下に鎬だった襞が密刻まれている。東博で再度出会うことでその仏像魅力を再発見する展示だった。
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