2022年5月14日土曜日

特別展「大安寺のすべて」②(秘仏十一面観音)

 

大安寺のすべて展は「ニコニコ美術館」の放送が5月8日のため事前情報なしで拝観した。それをサポートしたのが、以前も書いた鑑賞ガイドだった。十一面観音は頭部・左腕・右腕が後補だが、奈良時代木彫像の質の高さを伺い知ることができる貴重な遺例だ。本体から彫りだされた胸飾りがすばらしくガイドには「素敵なデザインとってもリアル!」と書かれており、台座の彫刻は「蓮の花びらだ!」と解説されていた。またN籐研究員によると裙の折り返しの上にベルト状の帯を付け、そこからはみ出した裙の衣の縁を波立たされるのは中国人工人が製作した唐招提寺の木彫群に影響を得ているが、唐招提寺の堂々した体躯とは異なり、肩を張らずに力の抜けた感覚があり、全体に誇張の少ないゆるやかな肉どりで構成され、均整のとれたプロポーションを有する。本像の造形には伝統の保守性と新様式の受容が同時に認められると図録の解説にある。確かに日本人に受け入れやすい十一面観音だった。


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