特別展「空也上人と六波羅蜜寺」④(六波羅蜜寺薬師如来)
会場の空也上人と反対側に展示されているのが、薬師如来と四天王だ。まるで一具のように祀られているが、四天王が秘仏本尊十一面観音の眷属である六波羅蜜寺はじまりのほとけに対し、薬師如来は客仏で創建時より少し時代が下り10世紀後半の作でかつてどこかのお寺の本尊として祀られていた仏像だ。西木学芸員によると製作技法からも違いがわかり四天王は一木造り、薬師如来は寄木造りだという。仏師定朝により完成した寄木造りだが、この薬師如来は寄木造りの初期の製作で定朝の阿弥陀如来が前後左右に分かれた財を寄せているのに対し、解体修理時の図録の写真でもわかるように、上半身は左右の二材に脚部は別の材でつくられていた。立像と異なり座像は前方に脚部がはみ出るので別の材で彫ることは珍しくないようです。このような技法が生み出された背景には末法思想が流行した10世紀後半から仏像の需要が高まったという要因もある。限られた時間に多量の仕事に迫られた仏師たちの工夫から寄木が生まれた。細かな表現や技法に注目するとより一層展覧会が楽しめるとの西木学芸員の文章に同感した。これからも仏像見るときその点についても心掛けていきたい。
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