特別展「聖徳太子と法隆寺」⑨(地蔵菩薩)
法隆寺の地蔵菩薩と言えば聖林寺十一面観音展にも出展された、大神神社の地蔵菩薩が有名だが、こちらは法隆寺聖霊院に祀られた平安時代の地蔵菩薩だ。こちらも実は客仏でもともと飛鳥の橘寺にあって、その衰退のため平安時代に最初に金堂のちに聖霊院に移された仏像だ。古い記録ではインドに生育する白檀で作られたとあるが、実際は白檀ではなく榧で作られているが、白檀の代用材でつくられた。榧の仏像は彩色しない木肌をあらわすが、本像は唇に彩色が見られるだけでひたいの白毫は真珠とみられる。長い眉切れ長な目、筋の通った鼻は理知的で、眼球や頬のふくらみ、深く彫られた唇は肉感的である。これは大神神社の地蔵菩薩にも見られる特徴で地域の地蔵菩薩の手本となった可能性が考えられると図録は結んでいる。
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