特別展「毘沙門天」③(華厳寺の毘沙門天)
2月中に毘沙門天展に行こうと思ったきっかけはこの毘沙門天が3月1日まで
の展示だったからだ。結果的には臨時休館のあおりで会期を待たずに閉館してしまったので、華厳寺毘沙門天のお導きだったと思う。西国33ケ所巡礼の結願のお寺である華厳寺に参拝したことがあり岐阜県の山の中にあり、みるべき仏像はないのではと思っていたが、会場の参加者の中にはお寺で毘沙門天を拝観した方もいたようだ。華厳寺毘沙門天は像高160センチを超える堂々した体つきで榧と思われる一木造りで平安時代の作。その像高からか会場でいちにを争う強烈な印象の仏像だ。連なった眉の下に睨み付けるような眼を開き、口元をへの字に曲げた意志的な表情を見せる。刀や矢から首筋を守る錣(しろ)のつきかたや鎧の胸当ての表現がしなやかである。鎧の下の衣装はまるで翻羽式衣文を表すようで作者の表現の巧みさに舌をまいた。御線香の煙で黒くなっているが、彩色が塗られていたとのこと。この仏像の素晴らしさに立ちすくんでしまったがもっと多くのひととのご縁ができること祈りつつ会場をあとにした。
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