室生寺の釈迦如来に再会する。
室生寺の金堂の仏像に圧倒されたあと、弥勒堂の「弥勒菩薩」と客仏の「釈迦如来」を拝観した。
弥勒堂の「釈迦如来」は3年前の「奈良の古寺と仏像展」に出展されており、その時拝観したが、それ以来の再会となった。飛鳥園の説明によると、「わが国の平安時代初期作品の白眉とも言える有名な仏像」とのこと。男性的な仏像で、いわゆる翻波式(ほんぱしき)の衣文、つまり衣文のドレープが豊かに波打つ向こうに、しっかりした腹が表現されている。頼れるお父さん、といったところだろうか。螺髪(らほつ)のない小さめな頭部にどっしりと安定感のある姿勢が余計そう感じさせる。釈迦が説法をする姿を表す優しさと静けさに満ちた表情だ。多くの善男善女でにぎわっていた紅葉まっさかりの室生寺だが、この弥勒堂だけ静けさに満ちているという錯覚を覚えた。隣の本尊である弥勒の大きめで、まるで童子のようなお顔を眺めて、次のお堂へ向った。
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