善円の釈迦如来坐像(解脱上人貞慶展③)
先日行った解脱上人貞慶展で一番見たかった仏像が東大寺指図堂の釈迦如来だ。小川光三氏の今年のカレンダーの表紙を飾り、さぞかし大きな仏像と想像していたが、像高はわずか30センチも満たない小さな像だが、素地の材の美しさを生かした見事な仏像だ。「仏の瀬谷さん」の解説によると、「小さな像ながら細部まで作りこまれている」とのこと。すばらしい仏像だ。光背は失われているが、台座は保存状態がよく蓮弁や華盤の先につけた飾りがすばらしい。この仏像は解脱上人貞慶の没後、海住山寺で製作されたが、貞慶と親しい明恵(みょうえ)が供養を行ったことから、貞慶の影響下で製作された仏像とのこと。また瀬谷学芸員は、貞慶が快慶に命じて製作した笠置寺の「白檀釈迦如来」の摸刻(もこく)を善円が製作した可能性を考えるのも一案だと言っている。何度も仏像を眺めてから会場を後にした。
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