源智上人造立の阿弥陀如来
法然と親鸞展で最初に展示されていた仏像がこの源智上人造立の阿弥陀如来だ。法然の愛弟子源智が師の一周忌にあわせて建立したと伝えられている。この仏像は昭和49年5月、滋賀県信楽町にある行基開創の古刹・玉桂寺の小堂で手足の指が損じ、台座も光背もはずれ、埃がかぶったまま壁にもたれていたという。調査した結果驚くべき事実が発見されたという。源智上人は平重盛の孫にあたり、源氏の平家落人狩りを逃れてひとり少年のころ法然の庵に出向き弟子入りしたという。この仏像にX線をあて胎内の文書から法然の一周忌供養のために造ったということがわかった。他には夥しい数の人の名前が記載された紙があり平清盛・源頼朝など平氏・源氏の人物の名が記載されており追善供養の意味もあったとのこと。法然の敵も味方も救わなければならないという教えを忠実に守った平氏の子源智の姿が浮かぶようだ。平和の祈りが込められた阿弥陀如来像は、法然八百回忌を迎えた2011年に浄土宗に帰ってきて、今回の展覧会に展示されていた。
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