京都・奈良2021⑥(金峯山寺金剛力士)
薬師寺のある西ノ京から奈良中心部に戻りU案内人一押しの興福寺五重塔初層開闢を見たが拝観料1000円にしては大したことなかった。急ぎ隣の紅葉まっさりの奈良国立博物館なら仏像館に向かった。お目当ては吉野金峯山寺金剛力士だ。この金剛力士像は金峯山寺の仁王門に安置されていたが、修復のため昨年の2月から令和10年まで奈良国立博物館に展示されている。まず見てその大きさに驚かされた。像高5メートル余りの仏像で近くの東大寺運慶作金剛力士像に匹敵する高さだ。山口学芸員によるとこの金剛力士像も寄木造で南北朝時代の作。角材を縦に並べ、貫を用いて箱組式に組み上げ、さらに多くの材を矧ぎ寄せている。像内墨書から大仏師康成の名がかかれており1338年の製作とのこと。金峯山寺には高さ7メートルの江戸時代の蔵王権現がありこの金剛力士より巨像文化が引き継がれていたのだろう。二軀の金剛力士像は鎌倉時代後期の颯爽とした姿を基本とし、まとまりがよい作風を示している。丈六の仏像を破綻なくまとめあげた康成のすぐれた技量をみることができるであろう。運慶快慶らが造立した奈良東大寺南大門像に次ぐ大作として、また当代を代表する金剛力士像としてきわめて高い価値を有していると山口学芸員も絶賛している。金峯山寺に帰るまえにもう一度見ておきたい仏像であった。
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