2022年8月30日火曜日

淡路徳島仏像巡礼③(丈六寺の聖観音)

若い時分,四国の香川・徳島・高知と巡り徳島の丈六寺にも行ったことがある。(たぶん見仏記の影響だが)淡路徳島仏像巡礼3日目(8月24日)徳島駅からバスに乗り丈六北で降りた。しばらく歩くとやすらぎの小路という町の住民が整備し、鯉を放し飼いにしている気持ちいい道をいくと丈六寺に着いた。重文の三門の横をくぐると境内に着いた。案内する人もいない境内をまずは観音堂へと進む。木の格子から薄暗い観音堂内部を見ると奥に座っいるのは懐かしい4メートル弱の聖観音だった。灰色にすすけた観音は見仏記によるとOKサインを出し左手を股の間に置いて握っていた。観音の驚くほど大きな左手の甲から蓮が飛び出している様は私には自然に見えたが、見仏記ではそそり立ったぺニスを誇示するかのようだとのこと。案外的を得た答えかもしれない。薄暗いので、よく見えなかったが、横の立て看板には光背には飛天もついており、全体が燃え上がる怪しい炎になっている。素晴らしい観音に再会し感動し、くりで御朱印を頂きこの旅の最後の巡礼を締めくくった。徳島に戻りスダチサワーと新鮮な刺身、美味しい煮魚で旅を満喫し帰路に着いた。

2022年8月27日土曜日

淡路徳島仏像巡礼②(井戸寺の十一面観音)

淡路徳島仏像巡礼の2日目(8月23日)、四国八十八ヶ所札所17番札所井戸寺に向かった。徳島駅で次の電車の時間を聞こうとしたら、府中(コウ)駅行きはあと1分で出ますという回答でいそいで電車に乗り込んだ。府中駅を携帯で調べる間もなく到着し、親切なご婦人の誘導で50分かけ井戸寺に到着。この井戸寺には見仏記でみうらじゅんいとうせいこうも訪れており、みうらさんにいたっては女性的を通りこし女性としか見ておらす、当時はグラビアアイドルや往年は洋画スターに例えている、見仏記を頼り仏像を説明すると像髙は二メートル弱の大きさの十一面観音、そして日光月光菩薩だった。平安時代の作といわれる、少々寸詰まりではあるものの存在感を豊かにあらわしていた。特徴的なのはなんといっても唇で、鼻と同じくらいの高さまで上唇を突きだしているのだ。つまり地方仏の特徴を女性的表現とらえ表している。いまでは明石海峡も鳴門海峡もクルマでさっと渡れる時代だがむかしは舟でしか渡れなかった仏師が想像で都の仏を作るのは致し方ないと思った。仏像の彩色は井上正先生によると鼠色の地粉地に丹が置かれ赤白檀を意識した彩色になっている。タクシーと電車を乗り継ぎ今夜の宿に猛暑の中向かった。

2022年8月24日水曜日

淡路徳島仏像巡礼①(淡路国分寺の釈迦如来)


今日(8月22日)から淡路徳島仏像巡礼に出ている。新見仏記でみうらじゅんいとうせいこうが淡路島の仏像を見ているので、いつかは行こうと思っていたが、今年の夏実現した。まず最初に向かったのが、天平時代?の釈迦如来が祀られている淡路国分寺だ、ここはホームページも開設しており、事前に拝観の申し込みをすると、若い声の住職が、拝観を快諾いただいた。タクシーで到着し案内をこうと予想通り若い住職が、応対してくれた。彼が力説していたのが現在の国分寺で釈迦如来を祀っているのは、当寺だけ。学者に南北朝時代の再建だというが土地の人たちは天平仏だと固く信じており、一つだけ残された飛天像からもかつて栄えた国分寺をしのぶことができる貴重な遺品だという。私も天平仏と信じたいが、飛鳥寺の例もあり、ひょっとしたらと思って、お寺をあとにした。

2022年8月21日日曜日

特別展「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」③(岡崎義実毘沙門天)

 

「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」展で随所に金沢文庫の「仏の瀬谷さん」らしい展示品であふれているが、最も瀬谷さんらしい展示品がこの個人蔵の毘沙門天だ。岡崎義実の念持仏として伝わるこの毘沙門天は九州の家来筋の家で運慶作として伝わっている作品だ。左手で宝塔を腕前で捧げ、邪鬼の頭上で屈する浄楽寺スタイルだ。明らかに模刻像であることに間違いないがここからが瀬谷さんの独自解釈だが頼朝のために運慶が造った勝長寿院の毘沙門天を浄楽寺像も岡崎義実毘沙門天も模刻したものだろうとのこと。岡崎氏も和田氏も三浦一族だが、岡崎氏の領地は証菩提寺あたりにあったので、三浦半島より鎌倉にある仏像の模刻像と考えられるの妥当だろう。いろいろ興味がつきない作品だが、満願寺の地蔵・観音が気になるので次の展示品に向かった。


2022年8月14日日曜日

特別展「大安寺のすべて」⑪(行教律師像)


 大安寺釈迦如来像をめぐる世界のあと、大安寺をめぐる人々と信仰と題し大安寺に関わった菩提僊那や空海などのお坊さんの展示のコーナーにこの行教律師像があった。行教律師は宇佐神宮から八幡神を招いて京都に石清水八幡宮を立てた坊さんでこの像は石清水八幡宮の麓にある神応寺に祀られている。奈良博研究員N藤氏はきわめて個性的と解説しているが、古佛の井上氏にかかると抜きんでて尋常でない表現を感じさせる像だという。井上氏によると「歪みの造形が目に付く。座形は左へ大きく傾き、肩は右上がりで、腰の重心と頭頂とが大幅にずれている。頭部、体部および足膝の向きが少しづつ異なり、この部分どうしがぎこちなく一種武骨な感じで全体をなす様子は苦悶に近い感じがする。」N籐研究員も目や鼻・唇の異常さには気づいていたが「独特の迫力があり」という記述にとどまっていた。井上氏は男山地主神の像で行基製作という結論に達したようだが、N籐研究員は僧形八幡神として祀られた像という可能性を指摘するにとどめている。実際の仏像も隣の絵画と見比べると行教のものとは思えない不思議な仏像だった。

2022年8月6日土曜日

特別展「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」②(浄楽寺不動明王)

 

この展覧会は横須賀美術館と県立金沢文庫の共同開催となっている。ニコニコ美術館で横須賀美術館の学芸員が「中世にお詳しい金沢文庫さんからの声掛けで開催の運びとなりました。」と言っていたので、当然図録の総論は「仏の瀬谷さん」こと県立金沢文庫の瀬谷学芸員であった。地方美術館の展覧会であるが、芸術新潮で特集がくまれ瀬谷節がさく裂していた。願成就院と浄楽寺ほぼ同時期に同じタイプの仏像のセットを造立したのは共通の何らかしらのプロトタイプがあった。それが頼朝創建の勝長寿院の仏像ではなかったか。一方、横須賀美術館の学芸員は不動明王肉体表現、力を入れた握り拳に運慶のうまさを説明していたのがおもしろかった。広い展示会場思う存分運慶作を堪能できてよかった。次の部屋の満願寺地蔵・観音が気になったので次の展示に向かった。