2021年7月31日土曜日
2021年7月24日土曜日
特別展「聖林寺十一面観音」~三輪山信仰のみほとけ④(大国主大神像)
会場に大神神社所蔵の大黒天に似た神像が置かれていたが、案内には大国主大神とのこと。出雲の国譲りに登場する大国主だが大神神社とのかかわりは、疫病を蔓延させる恐ろしい神、大物主大神が大国主の国造りを助けるため三輪山に自身を祀らせたという話だ。大国主は大神神社の創建に深くかかわった重要な存在なのである。後世、大国大神を大黒天で姿で表す例が多く、大国と音写が大黒となったとのこと。神像は平安時代に造られた全面古色仕上げで会場では気が付かなかったが唇にわずかに朱色が残る鎌倉時代に多くの作例がある大黒天の先駆けとなる貴重な作例だ。
2021年7月18日日曜日
特別展「聖林寺十一面観音~三輪山信仰のみほとけ」③(大御輪寺日光・月光菩薩)
会場の隅に展示されていたのが、大御輪寺から正暦時に移座された日光・月光菩薩だ。 正暦寺は奈良訪問の際訪れたが、孔雀明王など名仏を多く境内が広いお寺だったが、この仏像を見るのは初めてだった。日光・月光といっても東大寺の日光・月光菩薩のようにとても一対には見えなかったが図録を読んでよくわかった。近年の修理前まで両手先が欠失しており造立当時の尊名は不明。材質・構造技法、作風も異なり本来一具ではなかったとのこと。日光はケヤキ材で月光は檜材。日光は一木造で、内刳りを施し、月光も一木造だが内刳りはない。ただし両像とも、高い宝冠や胸から腹にかけて細かく絞り腰を強くひねる姿勢、量感ある下半身に平安時代前期の様相が見られるとのこと。日光は目鼻立ちが大振りで耳の張り出しも大きいので細面の月光より私は気に入った。やはり十一面観音の素晴らしさにはかなわないのでU案内人と私はまたもどって近くや遠くから眺めて会場をあとにした。
2021年7月10日土曜日
特別展「聖林寺十一面観音~三輪山信仰のみほとけ」②(大御輪寺地蔵菩薩)
会場では十一面観音の存在感が他を圧倒しているため目立たないが、大神神社の神宮寺であった大御輪寺で十一面観音の横に不動明王と一緒に祀られていたのがこの地蔵菩薩である。奈良博の山口学芸員によると地蔵菩薩と言うよりも神像として祀られていたのだろう。像高172センチ余りのヒノキの仏像で明治の初めの神仏分離令のおり一度聖林寺に入りその後法隆寺に移され釈迦三尊と背中合わせに祀られていたが、その後法隆寺大宝蔵院に移された仏像だ。一木造りで翻羽式衣文や茶杓型衣文を交えた着衣表現は平安時代の特徴をあらわし、制作は遷都まもない平安時代初期に制作されたのであろう。一木彫像の実在感にあふれ、大ぶりな目鼻立ちは平安時代初期の特徴を表しているとのこと。確かにすばらしい仏像で会場で鑑賞したがまた十一面観音の前に戻ってしまう二人であった。
2021年7月3日土曜日
特別展「聖林寺十一面観音~三輪山信仰のみほとけ」①