観音の里の祈りとくらし展Ⅱ②医王寺の十一面観音
今回の展覧会で1番会いたかったのが医王寺の十一面観音だ。「TV見仏記」で
も紹介され、いとうせいこう氏が「なんてやさしい顔だちなんだろう」と感嘆の声をあげているのが印象的だ。会場では十一面が邪魔でよく解らなかったが、頭上に半球状の髻(もとどり)をふたつ結い頂上面をいただいている。左手は水瓶を持ち右手を垂下し、「ほぼ直立の姿」で立っている。この仏像は数奇な運命によりこの長浜市大見地区にもたれされた。明治20年に住職が長浜の古物商より購入し村に持ち帰ったという。小説家の井上靖が医王寺を足しげく通い、「星と祭」では、清純な乙女の姿をモデルにした観音さまとして紹介されている。当初は薬師堂に安置されていたが、観音堂を寄進する人があり、そこへ写しお祀りするようになったという。今では大見地区の選挙で選ばれた3軒の世話方がお守りしているというから、地区の人に歓迎されていることが判るエピソードだ。この展覧会で入場者全員に配布されるクリアファイルの表紙にもなっているメインの仏像だ。私はあきることなく観音様を見上げていたが、他の展示物も気になるのでその場をあとにした。
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