2014年7月5日土曜日

南山城の古寺巡礼展⑦

以前、南山城を訪れた際、最後に拝観したのが蟹満寺だった。その創建時
期をめぐって論争が戦わされた蟹満寺の釈迦如来像の斜め後方の段上に安置されていたのが、今回展示されている阿弥陀如来像だ。近年再興なった真新しい本堂にこの小さな阿弥陀如来が安置されていたとは、気がつかなかった。余にも本尊の釈迦如来が大きいので眼にはいらなかったのかもしれない。小像でありながらも量感あふれる力強い像の姿から、平安時代初期の九世紀にさかのぼる像と考えられる。足先まで衣につつんだ姿が慶派仏師に影響を与えたという。慶派仏師が見ていたのはこの仏像の基準となる今はなき薬師如来か。いろいろ想像させる仏像だった。

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