2012年9月15日土曜日

近江路の神と仏名宝展②西教寺の薬師如来

近江路の神と仏名宝展で大日如来の次に注目なのが西教寺の秘仏薬師如来だ。その作風から彫刻史の研究者の間で運慶作としてよいという意見がある仏像だ。U案内人もその完成度の高さには驚いたらしくしきりに「美しい」と言っていた。西教寺の薬師如来はポーズにおいても興味深い点がある。本来薬師如来は薬壺を持った姿で造られることが多いが、通常は膝の上に手を置く。しかしこの像は腕の前に差し出されている。運慶お得意の胸の前に空間をつくる作風だ。仏の瀬谷さんも「空間の取り方を独自に消化したところに、運慶の卓抜な技量が見て取れる」と言っている願成就院の諸像に通じる作風からも運慶とみて間違いないだろう。本像は10月28日までの限定公開のためまだ見ていない方は是非足を運ぶことをお勧めする。

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