先週の日曜日に伊勢原の日向薬師(ひなたやくし)を訪問した。年数回しか御開帳されないなた彫りの薬師三尊を見にいくためだ。日向薬師の石段を上がると、いつもは静かな境内に大勢の善男善女が集い住職の講和が始まるところだった。中央にはいつもは閉まっている厨司の扉が開いており、中には桂の木で造られたの薬師三尊が見える。照明が一瞬ついてよく薬師様のお顔が見えたが、厳しい住職の指示で電気は消された。すると写真で見ていたご本尊のやさしいお顔が厳しく見えた。薬師如来を中心に左に月光菩薩、右に日光菩薩が配されている。かの白洲正子も言っていたが、写真でよく知っているつもりだったが、やはり実際に拝むと迫力が違う。その迫力は、荒削りの鉈彫から来るもののようであった。本堂が改築中のため広い収蔵庫での拝観となったが多くの赤ん坊をつれた若い夫婦が目だった。聞けばこのあたりの地域の方々は、お宮参りはこの日向薬師に詣でるとのこと。古くは源頼朝夫婦が娘の大姫の病気平癒のため、参拝したのがここ日向薬師だった。頼朝関連の言い伝えがのこる庭で甘酒を飲みながら、行く春を惜しむ桜が舞い散る境内をながめていた。
2012年4月21日土曜日
かんなみ仏の里美術館
本日4月14日にオープンしたばかりの「かんなみ仏の里美術館」を仏像クラブで訪問した。ここは昨年5月に訪問した「桑原薬師堂」の仏像が修復され新たな仏像美術館として公開されているところだ。「桑原薬師堂」跡地の様子を見てから、美術館へ向かった。外観は薬師堂をイメージしたようなつくりになっており、入場券を購入したあとまずボランティアガイドによる資料室での説明を聞いた。ボランティアガイドの説明はシロートにもわかりやすく、写真と文章による説明を丁寧に受けた。いよいよ仏像展示質へ向かうとすばらしくライトアップされた仏像群がならんでいた。展示室の中心にあるのが平安時代中期の薬師如来坐像だカヤの木の一木割矧造(いちぼくわりはぎづくり)の仏像だ。カヤの木目がよく出ており、素晴らしい照明のおかけでより神秘的に見えた。実慶の「阿弥陀三尊像」もすばらしく見ごたえがあった。今回驚いたのが十二神将がすべて修復されており後世の補色をはがして仏像本来の魅力がでていたことだ。時代は平安・鎌倉・南北朝・室町・江戸までに製作された十二神将で昨年見たときより近くで見れたので、1メートル前後の大きさが体感できてよかった。信仰の対象としての仏像は失われ少し寂しいが、美術品としては一級レベルの仏像なので多くの人が訪れることを期待する。