2024年7月7日日曜日

館佛三昧ミュージアム巡り③(旧足利樺崎寺下御堂大日如来)

 

半蔵門ミュージアムの展示の目玉はニューヨークのオークションにも掛かったこの大日如来だが、この仏像を初めて世間に知らしめたのは現在館長の山本勉氏だ。彼が初めてこの仏像を見た驚き喜びは東博研究誌「MUSEUM」589号を読むとよくわかる。「昨年(2003年)にご所蔵の仏像の像内納入品があるかもしれないのでX線写真を撮れないかという趣旨の書状をいただいた。二葉の写真が同封されていた。(中略)かんたんなスナップ写真だから細部までを確認できたわけではないが、それでもそこに写った像の姿に衝撃をおぼえたのである。(中略)所蔵者のお宅に伺って、大日如来像を調査することができたは想像をはるかに超えた優作であった。」その後東博での出品のおりX線撮影を行い内部の仏像の魂としてあらわされる心月輪が判明したことで運慶工房での作という考えにいたったとのこと。2008年のオークション騒ぎを経て2009年に重文に指定するための文化庁奥建夫しのボアスコープ(棒状の内視鏡)を耳孔より挿入した画像により像内は金箔が押され五輪塔の空輪には薄青、風輪には青、火輪には赤、水輪には白、地輪には黄、それらの各面に四方五大種子、その下には陀羅尼が記載されていることが判明した。運慶の製作当初の仏像の色彩が像内納入品に残っていたのは驚きだ。その辺をコンパクトにまとめた動画が半蔵門ミュージアムで無料で見れるので、ぜひおすすめしたい。

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