みちのくいとしい仏たち⑥(青森県五戸町毘沙門天像)
この展覧会コンセプトは民間仏の紹介だが、青森県五戸町に伝わる毘沙門天像はいかにも名もなき僧や職人によって造られた、遊び心満載の仏像だ。大きな兜と大きな兜と重そうな衣装をまとい、型抜きの枠の中に造形毘沙門天の姿は玩具のようにさえ見える。帯を締めた獅子がみは獅子でなく鬼の顔になっていて、足元に踏みつけられながら笑っているような邪鬼の顔に繰り返されている。青森県南部地方に残る民間仏の中でも出色の像である。東京ステーションギャラリーの学芸員はその邪鬼の表情に注目して「仏教図像よりも土地の共通理解が優先された見本といえ、踏んづけられた邪鬼さえかわいさ満点です」とのこと。雪国の厳しい自然環境の中ユーモラスをもって人々に寄り添う仏像の姿であろう。
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