特別展 『聖地 南山城』②(和束町薬師寺薬師如来)
展覧会冒頭に展示していたのがこの和束町薬師寺の薬師如来と蟹満寺阿弥陀如来だ。この二つはよく似ているということで並べて展示された。広い肩幅に膝張りが大きく上半身が短く量感ある体躯、胸や腹などの肉身部や、丸みのある細かな衣文表現、左足を上にして結跏趺坐し、両足先を着衣で覆う着衣形式などが似ているというが、奈良時代後期の乾漆像を思わせる肉身部や衣文の柔らかい質感表現は和束町薬師が勝っていると感じた。シャープな顔つきや大きな胸の張りからネットでは渡来仏工の作などと騒がれているが、解説には書かれてないが、ミズノ先生が言っている涼州式偏袒右肩は奈良薬師寺の薬師如来のころから日本に定着しており、和束町薬師寺も奈良薬師寺薬師如来を参考にして造られた仏像ではないか。南山城は京都といってもむしろ奈良とのつながりがあることを物語る仏像だった。
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