2023年3月11日土曜日

令和5年 新指定国宝・重文展②(京都 上徳寺の阿弥陀如来)

新指定国宝・重文展では往々にして作品保護のため壊れやすい光背を外して展示されているケースがみられ、あの願成就院不動明王も光背なしの展示だった。ここに紹介する京都上徳寺の阿弥陀如来も文化庁HPや図録では素晴らしい火焔光背が展示されなく残念であった。上徳寺は京都五条にあり京都冬の旅2023の公開寺院となっているが、本尊は国宝重文展に出展のため一時期京都を離れて拝観することが出来た。印相が通例とは逆で深く自由な衣文の彫り口や張りのある肉付けより13世紀前半の製作とみられる。下半身のV字は印相とともに中国・宋時代の画像から採り入れたもので、鎌倉時代に奈良で活躍した善派仏師の作例にままみられ、同派の仏師によって造られたとみられる。問題の唇に水晶を貼装するいわゆる玉唇の技法はきわめて珍しいもので、生身信仰に関連するものと考えられる。鎌倉時代の優品で図像や作風に特色ある一作として注目される。毎年見ていた五条の街並みにそのような仏が隠されている、京都の奥深さに感動した作品だった。



 

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