特別展「最澄と天台宗のすべて」⑩(横川中堂の聖観音)
初めて比叡山を訪れたのは2014年の秋だった。その際、比叡山山内を走るバスで横川中堂に向かい、目に鮮やかな紅葉の中、お堂の奥のガラスケースに安置している聖観音に参拝した。京博開催の「最澄と天台宗のすべて」展に行こうと思ったきっかけは東京で出展されないこの聖観音を間近に鑑賞できるまたとない機会だったからだ。京博1Fの仏像コーナー多くの仏像とともにガラスケースに入った聖観音を拝した。以前は間近に拝めなかった仏像の愛らしい表情に魅了された。左手で未敷蓮華を執り、その蓮華に指を捻じた右手をそえて、花弁を開こうとする姿の観音像は全国天台寺院で見られるがその根本像である。脇侍に毘沙門天を付けたのが円仁、不動明王を鬼大師こと良源が付け加えて三尊形式にしたとのこと。円仁安置の当初像とも伝えられるが定朝風の彫りの浅い穏やかな作風は平安時代後期のものと考えられる。帰りに聖観音の絵葉書と京博お馴染みの聖観音全身像の「手拭い」を購入して大満足して会場をあとにした。
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