特別展「空也上人と六波羅蜜寺」②(定朝の地蔵菩薩)
展覧会場入り口で音声ガイドを聞きながら鑑賞したが、最初に参拝したのが、定朝の地蔵菩薩だ。皿井学芸員お得意のガラスケースで間近に鑑賞した。光背の透かし彫りも美しかった。今昔物語には閻魔庁に召されたた中級貴族、源国挙が自分が生き返ることができれば地蔵菩薩に帰依すると誓ったところ、生き返ることができたため、出家して大仏師定朝に依頼して等身大の地蔵菩薩を造り、六波羅蜜寺に安置したという。像高152センチ余りと小柄な男性の背の高さの仏像だ。この仏像は別の説話もあり「鬘掛地蔵」とも称される。皿井学芸員も均整の取れた体のバランス、手足の長いプロポーション、なだらかな曲面による立体構成は、平等院鳳凰堂阿弥陀如来に通じるところがあると言っている。源国挙の死んだ日から定朝の若いころの作品である可能性は十分にある。冒頭から素晴らしい作品に出会えたことに感謝し、次の作品に向かった。
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