特別展「聖徳太子と法隆寺」⑤(法起寺の如来立像)
2010年の秋奈良を旅した際、法起寺を訪問したが、収蔵ケースに仏像がひしめいていたのを思い出した。聖徳太子と法隆寺展に出展された法起寺如来像もその中にあったのかもしれないが、覚えていない。奈良博の山口学芸員のコラムによると平成5年に「わが国最古の弥勒如来」と評価された仏像だ。ただこの仏像にはいわくがあり、今回の展覧会が奈良博で開催されるにあたり、X線CTスキャン調査を行った顛末が書かれている。それは、昭和11年刊行の古写真と面相が違うとされたことだ。それにより同年以降の補作と訂正され仏像は日の目を見る機会がなかったが今回のX線CTスキャン調査で顔と背中は後補だが後頭部から前面の指先まで飛鳥時代の特徴を表し、特に腰帯は法隆寺献納宝物の四十八仏に似たものがあり、衣文の階段状の表現や後頭部で頭髪を左右に分ける表現からも飛鳥時代の製作であることは造形の面からも疑いないとのこと。「わが国最古の弥勒如来」かどうかは異論が分かれるが、類まれな飛鳥時代の如来立像であることは今後注目すべき作品であると結んでいる。昭和になってから後補された事実に驚いたが、法起寺の仏像はまだまだ調査すればなにか出てくるのではないか。今後の調査を待ちたい。
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