特別展名作誕生⑥(阿弥陀寺の薬師如来)
この春開催された「名作誕生展」では平成18年に開催され見逃した「仏像~一木に込められた祈り展」で出展された仏像も多く出展されていた。この阿弥陀寺の薬師如来もそのひとつだ。ウェブによるとその解説では「幅が広く、あごの出が少ない寸詰まった顔立ち特色があり、表情に霊的な雰囲気が漂う。」と書かれており、神護寺の薬師如来などの怖い顔の仏像を想像していたが会場の明るい照明からはそのようには感じなかった。この展覧会では名作のつながりをテーマにしており阿弥陀寺像も唐招提寺の薬師如来の左袖の木彫らしい表現のつながりを図録で解説している。中国人の仏師が製作した薬師如来像ではひだの彫りが浅く中国の石製の仏像を彫ったようだが、阿弥陀寺像では深く自在な表現をする日本の木彫像のノミの切れ味を楽しむような表現が見られる。京都の城陽市にある阿弥陀寺をいつか訪ねる機会があれば霊的表情と左袖の表現に注意して拝観したいと思う。
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