特別展仁和寺と御室派のみほとけ③(道明寺の十一面観音)
今回の展覧会では国宝の仏像4体が出展されるが、仁和寺2体と大阪の葛井
寺と今回取り上げる道明寺の十一面観音だ。道明寺の創建は飛鳥時代で土師氏の氏寺として建立され、土師氏に菅原姓を賜りのちに菅原道真が寺伝によると道真の叔母が住んでいることでしばしば道明寺を訪れこの仏像を刻んだと伝えられている。道真が30代で造ったかは分からないが、像の印象は若々しさを感じ、井上正氏も「清純な相貌と溌溂たる肉身に加えて、その衣の神秘的な動きを忘れることはできない」といっている。図録によると冠や後頭部の垂髪の形状などの形式が中国・唐時代の彫像に通じている。着衣の衣文は私が京都で見に行った法菩提院の菩薩半跏像に通じるうごめくような触感を表す一方、肉身にはかたい弾力を感じさせた。大阪弾丸ツアーの際最後に印象に残った名仏に再会できここちよい思いをして次の作品に向かった。
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