特別展鎌倉×密教の思い出(園城寺の不動明王)
平成23年に仏像クラブで行った鎌倉国宝館開催「特別展鎌倉×密教」ではU案
内人と特別開帳で訪問した明王院の肥後定慶作不動明王がメインで展示されていた。この展覧会により再評価され重文指定されることになるのだが、この不動明王と比較する作品として園城寺の不動明王が展示されていた。当時は肥後定慶作の印象が強く、さして記憶に残らなかったが、昨年訪れた大津市歴史博物館で開催された「特別展三井寺国宝の美」で、はからずも再会することができた。この不動明王がポスターの中央にあり、展覧会の目玉となっていた。あらためて作風を見ると両手足を左右に大きく張った堂々とした構えに気宇の大きさが感じられ、憤怒の表情は控えめに表し、衣文や肉取りを大つかみにとらえ、落ち着いた印象を与える。顔の表情はものすごく太めの眉を吊り上げ、両目を見開いている。作風からして湛慶か肥後定慶の作といわれており、当時の鎌倉国宝館の学芸員も肥後定慶作の比較としてわざわざ鎌倉まで持ってきて展示したのだろう。照明のよい大津歴史博物館でじっくり堪能して京都へ戻った。
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