2015年3月7日土曜日

円空・木喰展③少林寺の護法神

会場に展示されている円空仏のうちひときわ目立った展示品がこの少林寺の護
法神だ。いままで多くの円空仏を見てその抽象性に驚かされていたが、わずか1メートルに満たない木片に目と口の切り口をいれた顔面に最小限の彫刻を施した作品にはびっくりした。「こんな円空見たことがない」と思わせる作品で監修者の小島先生も著作の「円空と木喰」のなかで、「円空様式ともいうべきダイナミックで抽象性の高い自己表現を確立していく」作品としてこの護法神を紹介している。これがその後の「木端(こっぱ)仏」などの円空らしい作品へと発展していく契機となる。会場では初期の仏像らしい作品からいきなりこの護法神が展示されているため作風の変化に驚かされる。U案内人も単に木片にしか見えないこの円空仏を「これも作品なのか」と驚いていた。ここからわれわれは円空ワールドに引き込まれて多くの作品を見ることになるが、まずはこの作品にやられたという印象を持った。

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