特別展東大寺
本日、県立金沢文庫で開催されている「東大寺展」に出かけた。パンフレットに
は運慶作の国宝「重源上人像」(ちょうげんしょうにんぞう)が表紙を飾っており、散歩がてら金沢文庫まで足を運んだ。1階で運慶の「大威徳明王」(だいいとくみょうおう)を見てから、2階の特別展会場に向かった。まず眼に飛び込んできたのが、運慶の「重源上人像」だ。平家の焼き討ちにより消失した東大寺を、鎌倉時代に再建した高僧が重源上人だ。亡くなってまもなく製作された上人像で、リアルを超えたリアリズムを追求する運慶らしい作品だ。像は背をまるめてうずくまるように座り、それでもぐいと首をあげて正面を見据え、両手で数珠を持つ老いさらばえた僧侶の姿だ。山本勉先生によると、運慶は頭と体という二つの単純な塊として大胆にとらえ、その二つを頸部でつないでいるという。他にも東大寺千手堂の邪鬼がえらく踏まれっぷりがよい彩色が残る四天王や試みの大仏、東博の「東大寺大仏展」で見た快慶の切金が美しい地蔵菩薩が展示されており、出展数はすくないが充実した展覧会だった。東大寺のクリアファイルを購入して、夕暮れの称妙寺をそぞろ歩いて家路へと向った。
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