宝戒寺の地蔵菩薩と迦陵頻伽(かりょうびんが)
平成22年に鎌倉国宝館の帰りに、宝戒寺に行った。宝戒寺は鶴岡八幡宮すぐ近くのお寺で、白ハギの咲く寺として知られている。ご本尊は南北朝時代の地蔵菩薩で、向かって右に梵天、左に帝釈天を従えている。足下には十王像や奪衣婆(だつえば)といった冥府の尊神たちが控えている。本堂に誰でも気軽にあがれてじっくりと仏像を鑑賞できるのがうれしい限りだ。そのときは地蔵菩薩の穏やかな表情に癒されて、周りに目が行かなかったが後でガイドブックを調べてみると、地蔵菩薩の大ぶりな光背には迦陵頻伽や飛天が荘厳されており興味深い。迦陵頻伽とは上半身人で下半身鳥の仏教における想像上の生物で、同じ鎌倉では覚園寺の日光・月光菩薩に描かれているエンジェルだ。特に有名なのが切手にもなった中尊寺の迦陵頻伽だ。本像は光背にイタリアのレリーフのように迦陵頻伽が刻まれている。ここ宝戒寺は鎌倉幕府執権北条高時が自害した東勝寺の後に、足利尊氏・後醍醐天皇が北条一族の菩提を弔うために建立したと伝えられている。もののふの栄枯盛衰を見守ってきた地蔵菩薩のお姿に深く感銘を受けた。また機会が会ったら訪れようと思う。
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