2011年10月14日金曜日

海龍王寺の十一面観音

2010年の春に佐保・佐紀路の三観音を訪ねるため奈良を訪れた。佐保・佐紀路の三観音とは不退寺の聖観音、海龍王寺の十一面観音、法華寺の十一面観音だ。いずれも静かな佇まいの古刹で奈良中心部の喧騒がうそのようだ。落ち着いた雰囲気の参道を抜けると本堂があり、厨子入りの十一面観音はそこに祀られていた。目の下がぷっくりとふくらんでおり、鎌倉時代の作ながら長いあいだ秘仏であったためよく金が残っている。左手に持っている宝瓶からは蓮が二本でており、衣の柄には金や墨で造った唐草や格子の文様を切金で表したこった細工だ。典型的な美人の観音様だ。キメ細かな素肌を思わせる、キラキラ輝くお顔に真っ赤な紅。なまめかしいウエストラインに色気を感じる。ご住職に御朱印をいただいたが、「妙智力」と記載されていた。解説の紙が添えられており、「観音様のすばらしい智慧の力は普く世間の苦しみを救いたまう」との意。今回は日帰りの奈良であったが、心が浄化され穏やかになっているのをひしひしと感じた。

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