仏像クラブ活動報告(円成寺大日如来)
平成20年仏像好きなKさんと、奈良の寺めぐりをした。旅行3日目はタクシーで柳生街道を東へ30分ほど行った山あいの真言宗名刹・忍辱山(にんにくせん)円成寺に向かった。平成になってから再建された多宝塔の本尊として祀られているのが、運慶の現存する最初の作品《大日如来坐像》だ。円成寺は浄土式庭園の寺で奈良中心部より紅葉が進みいまが盛りだ。多宝塔のガラス越しに運慶の大日如来を見る。座っていても十頭身の見事なプロポーションなのはわかった。あちこち剝落しているが、非の打ち所がない顔の作りも、無駄のない細身の肉体も健在で、大日ならではの印を結ぶ指は少年のようにしなやかだ。特に気に入ったのが高々と結い上げられた髻(もとどり)だ。髪筋の彫りのみごとさは運慶ならではのもの。鑿(のみ)をあやつる天才的な力と、みずみずしい感性にあふれている。感動の余韻に浸りながら二人は奈良へ戻り帰路についた。
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