上野で運慶大日如来に出会う
本日上野の東京国立博物館(東博)にこの猛暑の中運慶の大日如来を見に行った。あのニューヨ-クのオークションに出されて話題になった仏像だ。東博の本館の12室に二体の運慶の大日如来が9月12日まで特集陳列されているとのことで、U案内人と出かけた。東博の11室にも仏像関連の展示がされており、菩薩立像などすばらしい作品に二人とも興奮気味だった。いよいよ12室の大日如来に胸の高まりを抑えつつ向かった。大日如来像は像高61.6センチで髻が以前見た浄楽寺の脇侍に感じが似ている。豊かなボリューム感のうちに、きつく結い上げられた髪の毛の質感まで感じられる。部屋のなかの小冊子にちょうど浄楽寺の脇侍の髻の写真がありU案内人は興奮しながら見比べていた。ふたりで玉眼の視線を探すため、大日如来の前でかがみこみ表情の移ろいを眺めていた。展示ケースからの鑑賞のためよく解らなかったが、結跏趺坐したふくよかな足の裏やふくらはぎは指で押したらへこみそうな質感が表現されている。そのあと二体目の運慶の大日如来である光得寺の大日如来を見てその場を後にした。お昼にうなぎ屋に寄り運慶話に盛り上がり帰路についた。
日本の仏像史における運慶は、特別である。初期の傑作、円成寺大日如来から後期の
返信削除奇跡、興福寺の無着・世親そして弥勒如来まで、それぞれが良いのである。ある学者
は、運慶的なるものは願成就院の阿弥陀如来からとする言もある。私はこの説に共感
する。ただ、運慶的なものをして、運慶を代表するとは限らないだろう。
私は技術的な問題は分からないが、今回の大日如来も円成寺には及ばないまでも運
慶初期の名品として名を刻むことであろう。
(nyoraizou)