2023年1月21日土曜日

特別企画「大安寺の仏像」④(多聞天)

 

東博の11室では一番見せたい仏像を大きなガラスケースで入口に展示するのが恒例となっているが、大安寺の四天王で一番出来が良いといわれる多聞天が今回の特別企画の入口を飾っている。上歯で下唇を噛む忿怒の表情を示し、右手を挙げて左手を腰にあて、右足を曲げて岩座の上に立つ姿は動きに富んでいる。体つきが均整のとれた姿で、甲に刻まれた緻密な浮彫文様や編靴は唐時代の彫刻表現の影響と考えられる。中国洛陽にある竜門石窟は唐時代則天武后の遺品といわれるが、確か菩薩を守る四天王に同様な表現があったと記憶している。このように大安寺の木彫群は、天平彫刻の伝統と大陸からの新しい表現との融合がみられる重要な存在だとのこと。



2023年1月14日土曜日

特別企画「大安寺の仏像」③(伝広目天)



 奈良博では4体ひとまとめに展示されていた四天王が東博の「大安寺の仏像」展では別々のところに展示され紹介冊子では一体づつ解説付きなのも仏像ファンには嬉しい限りだ。この広目天は右肩と左肘から先が後補だがそれを感じさせないない出来栄えだ。目を大きく見開き、開いた口から歯をのぞかせる忿怒の表情。太い体つきに重厚さが感じられる一方、甲などに文様を立体的に彫りだす装飾性も備えている。膝下でくくった袴の端が脛当てにかかる形式は、奈良時代後期の神将像にみられる。現状持物はないが、本来、太刀をつく姿であったとうい見解もありとのこと。調べてみるといろいろ奥が深いので3月中旬まで開催されているので今度見る機会があればそこら辺を意識してみたいと思う。




2023年1月7日土曜日

特別企画 大安寺の仏像②(伝聖観音)



東博で開催された大安寺の仏像展は昨年開催された「大安寺のすべて」展を意識した展示となっていた。奈良博では作品保護のため薄暗い照明となっていたが、東博でスポットライトを仏像にあてて、大安寺の仏像の特色である細かい胸飾りがはっきりと見えて、仏像の魅力を最大限に引き出した展示となっている。また台の上の展示のため像高180センチ前後の大安寺の仏像を仰ぎ見る展示もよかった。ニコニコ美術館で踏割蓮華座をセグウェイと騒いでいた聖観音も胸飾りがすばらしくおもわず拡大写真を撮ってしまったほどだった。頭部から足元の楕円形踏む板まで一材から彫りだす一木造りで肩幅が広く胴は締まり、堂々とした体つきに表されている。胸や腕の飾りも同じ木から彫りだし、装飾性に富んだ華やかな表現は奈良時代の特色とのこと。腰に付けた裙の折り返し部分や脚部の間に衣の縁を細かく折りたたみ,脚部の下に鎬だった襞が密刻まれている。東博で再度出会うことでその仏像魅力を再発見する展示だった。


 

2023年1月3日火曜日

特別企画 大安寺の仏像①


 本日、2023年1月2日に東博に特別企画「大安寺の仏像」を見に行った。奈良博特別展「大安寺のすべて」を5月に見たが、今回は総合文化展のチケットで大安寺の仏像が鑑賞でき、しかも個人撮影ならOKと破格の特別企画だ。いつもの11室が会場なので入口のガラスケースには四天王のうち最もビジュアルが美しいといわれる、多聞天がおり、中に入ると太刀など持物を持っていただろうと思われる広目天、秘仏の仏像を除いてほぼ奈良博と同じで圧倒的に迫ってきた。詳細は次回にするが正月早々すばらし仏像に出会えてよかった。この総合文化展の半券で上野の東叡山寛永寺の根本中堂にも入場でき初めて初詣に寛永寺に向かった。寛永寺に戻ってから休憩をはさみ上野の森美術館で開催の「兵馬俑と古代中国」展を鑑賞。こちらも個人撮影OKとのことで兵馬俑を携帯で撮って美術展を楽しんだ。これから毎年恒例で博物館詣でをしたいと感じ暮れなずむ上野を後にした。