2021年4月29日木曜日
2021年4月24日土曜日
特別展「横浜の仏像」⑬(保木薬師堂薬師如来)
運慶仏の時代で山本館長が最後に紹介したのが、青葉区保木薬師堂の薬師如来だ。以前から私も注目していた仏像で普段は神奈川歴史博物館に寄託されており年1回保木薬師堂に里帰りする仏像だ。一目みて鎌倉仏のいい顔をしており、慶派の影響を受けた仏師が製作したことがわかる。山本館長の講演によると玉眼がとれた穴からのぞくと仏師尊永作で承久3年(1221年)製作とわかる貴重な仏像だ。承久3年は後鳥羽上皇が鎌倉と争った承久の変まっただ中であり、運慶最晩年のころだ。神奈川歴博の神野氏によると構造は寄木造とし頭と体幹部は前後二つに分け前半部分を中心で左右にわけており、螺髪は別材で貼り付けている。表面の古色塗りは後補とのこと。以前は玉眼を内側からあてていたが、今は脱落しているとのこと。世の中が落ち着いたら里帰りの日にお寺を訪ねたいと思う。
2021年4月17日土曜日
特別展「横浜の仏像」⑫(東漸寺薬師如来)
山本館長の講演も佳境でいよいよ「運慶仏の時代」に入った。「横浜の仏像」展では運慶の作品である金沢文庫所蔵の光明院大威徳明王は出展されず、運慶周辺の仏師の作が並んでいた。山本館長が最初に紹介したのが磯子区杉田の東漸寺薬師如来で像高85センチ余りの堂々した体躯、鎌倉時代寄木造り玉眼の仏像だ。とても穏やかな顔立ちで像内銘記から仏師は特定できないが山本館長によるとそこかしこに運慶に影響された痕跡を持つ薬師如来だ。まず注目したのが後頭部の螺髪で運慶の彫り方として逆V字型をあげ、願成就院阿弥陀如来と比較した平安時代の仏像と明らかに違う特徴をあげた。みほとけチャンネルで山本館長があげたのが衣文の折り返しで浄楽寺阿弥陀如来で運慶が始めた特徴だという。運慶仏のもうひとつの特徴が浄楽寺像に見られる「上げ底式内刳り」だがこの像では採用されず古風なままだ。運慶に極めて近いながら古風な仏像をつくる仏師から関東で活躍した宗慶や実慶が想起されるが山本館長は仏師を特定していなかった。いっきに運慶仏の時代に引き込まれる仏像だった。
2021年4月10日土曜日
特別展「横浜の仏像」⑪(證菩提寺阿弥陀如来)