先月のことになるが、特別展「鎌倉の至宝~優美なる慶派のほとけ」を見に
久しぶりに鎌倉国宝館に出かけた。特別展を見る前に同時開催している平常展示「鎌倉の仏像」を鑑賞した。鎌倉国宝館のHPで神奈川県立歴史博物館から仏像が4体来ていることを知っていたので注目していた。今回展示されていたのは県博所蔵の阿弥陀如来・保木薬師堂の薬師如来・宝生寺の大日如来の三体で県博所蔵の菩薩半跏像は展示されていなかった。特別展のコーナーに向かうと鎌倉教恩寺の阿弥陀如来及び両脇侍像と秦野金剛寺の阿弥陀如来及び両脇侍像が今回の展覧会のメインの展示になっていた。教恩寺像のガラスケースには「快慶」金剛寺のガラスケースには「定慶」と張った展示になっておりわかりやすかった。奈良で「快慶展」の仏像をたくさん見てきているので教恩寺像が快慶作とは思えなかったが、教恩寺は平重衡の伝説も残されておりいちがいに否定できなかった。今回の特別展は小規模だったが印象的な展示だった。
奈良西大寺展には叡尊の弟子により復興された多くの寺院の仏像も出展さ
れており、不空院の不空羂索観音もそのひとつだ。不空院を知ったのはみうらじゅん・いとうせいこう氏の見仏記で、みうらじゅん氏のイラストから、いつかは拝んでみたい仏像のひとつだった。鎌倉時代の作で、一面三目ハ臂で高い髻を結い、顔を正面に向け、左右第一手は腕前で合掌し、他は蓮華・錫杖・羂索などを執り座している。見仏記によるといかにも慶派の作として座してながら動きを感じるとのこと。先日奈良の璉珹寺に参拝したときに奈良市のボランティアガイドに勧められたが、時間がなくお寺の訪問は出来なかったが、見仏記によると瀟洒なお寺だが、確かに不空院は仏像マニアの心をくすぐるお寺だとのこと。機会があればお玉地蔵の香薬師寺とセットで高畑あたりをそぞろ歩きたいものだ。
先週の日曜日、仏像クラブで三井記念美術館開催の奈良西大寺展へでかけた。開場時間の10時に入口の前に集合し、西大寺に関する動画を観賞してから展示室に入場した。入ってすぐは密教法具のコーナーで展示の目玉となっているのが国宝金銅透彫舎利容器だ。360に観賞でき、仏像クラブの面々も食い入る様に見ていた。次の展示室は西大寺の仏像のコーナーで、塔本四仏坐像の内釈迦、阿弥陀のみの展示であった。いとうせいこう氏が大好きな文殊菩薩や善財童子、最勝老人もよかった。最後のコーナーでは一門の仏像が集まっており、不空院の不空けんさく観音が素晴らしかった。鎌倉極楽寺の仏像も展示されており、充実した内容となっていた。展覧会観賞を終えて近くの和食屋で、展覧会図録を見ながら今見た名宝仏像について大いに語る仏像クラブの面々であった。