山本勉先生のツイッターをチェックしていたら、横浜市新羽の西方寺にて修
理完成記念特別開帳が行われることを知った。根津美術館に定慶仏と高麗仏画を見に行く日の朝に横浜市営地下鉄の新羽の駅に初めて降り、西方寺を目指した。門前に早咲きの桜が舞い散る境内をすぎ、お寺に向かった。神奈川新聞で紹介されたらしく、すでに参拝者が数人いらした。観音堂の中を覗いてみると、光背と一体になった白木の十一面観音がいらした。無料で配布してある解説文を読むと東日本大震災での転倒で損傷した十一面観音を自立させるために光背との一体を図る修理を行ったとのこと。山本先生が修理にかかわったらしく江戸時代の修復でよく見かける顔の金箔は除去され平安時代の面影を今に伝えている。うららかな春の日差しの中思いがけずよい観音様に出会えて大満足で境内をあとに根津美術館に向かった。
本日春爛漫の天気の中、仏像巡りに出かけた。横浜の新羽にある西方寺の十
一面観音特別開帳を見たあと、表参道にある根津美術館に特別展示の興福寺梵天・帝釈天と特別展『高麗仏画』を見に出かけた。根津美術館のエントランス奥にある展示室のガラスケースの中に仏師定慶作の梵天と帝釈天が展示されていた。定慶は興福寺の金剛力士や文殊菩薩などの作品を残した康慶一門の仏師で興福寺にしか作品が残っていない興福寺専属で活躍した。ひと目梵天の顔を見た印象はおおらかで優しい印象だった。徹底した写実表現に裏打ちされた美しさがあった。帝釈天は明治には顔のほとんどがない状態で修復されたため印象は梵天とかなり違う像になっていた。高麗仏画も気になったので、なごり惜しいが展示室をあとにした。
3月10日に文化庁より仏像5体の国宝指定答申がなされたニュースが入って
きた。調布深大寺の釈迦如来倚像・法華寺の維摩居士と共に河内長野市金剛寺の大日如来・不動明王・降三世明王の三尊が指定された。なら仏像館で快慶の弟子「行快」の降三世明王に出会いその迫力に圧倒され京博で修復が終わった大日如来と不動明王を拝観した。文化庁の解説によると三尊の構成は円珍が中国よりもたらした曼荼羅に準拠する唯一の遺品とのこと。保存修理に伴う本格的調査の結果、この三尊像は半世紀をかけて造られ、以後おおむねその状態をとどめて今日まで伝えられていることが明らかになった。それも国宝指定の理由のひとつのようだ。東博で4月18日より国宝・重文展が開催されるが、三尊揃った展示を是非みたいものだ。
昨年行った禅~心をかたちに展には京都宇冶萬福寺から十八羅漢のうち三
尊者の像が出展されていた。そのなかで私が注目したのは羅怙羅尊者(らごらそんじゃ)だ。展覧会のパンフレットにも出ており、この展覧会の目玉のひとつとなっている。羅怙羅尊者とは釈迦の子とされている。像高は130センチで中国明代の范道生作とのこと。萬福寺に行ったときここは中国かと錯覚してしまうのは、この范道生の十八羅漢に囲まれたときだった。両手で胸を開き、中から仏の顔がのぞいているの姿は、すべての人に仏性、すなわち仏になれる可能性が具わっていることの表現したもので、群像のなかでも異彩を放っている。みうらじゅん氏も注目したらしく羅怙羅尊者のTシャツをつくって会場で販売していたが、来館者も年齢層が高い方が多く大量に売れ残っていた。私も買わずに会場をあとにした。