2014年11月29日土曜日

法金剛院の阿弥陀如来

京博の喧騒を抜けて、JR嵯峨野線花園駅近くの法金剛院に向った。ここは鳥羽上皇の中宮である待賢門院が復興したお寺だ。鳥羽上皇の寵愛を受けた待賢門院であったが、上皇の祖父白河法皇と関係していたため、晩年は他の女院に寵愛を奪われ、さびしい晩年をすごしたようだ。待賢門院が発案者となったのがこの阿弥陀如来だ。ほとんど人が居ない仏殿の中央の大きな阿弥陀如来と対峙した。華美な光背に楽器を持った天女たちが踊っていた。阿弥陀が座る蓮の花の一枚ずつには、細かい飾りが彫られている。阿弥陀の体に、金箔の残りがまるで溶けるようについていて、それが光背の一面の金との間に美しいコントラストを作っていた。華やかさの中にはかなさを感じる。隣の十二天の絵がある厨子の中に座す十一面を見て次のお寺に向った。



2014年11月22日土曜日

三井寺仏像の美展①

今回の京都・滋賀の旅行では当初、「三井寺仏像の美展」を拝観する予定だっ
たが、急遽京博の「京へのいざない」展を拝観することになり一旦スケジュールからはずした。しかし実際に回ってみると、思ったより早く回れて時間が余ってしまった。そこで急遽タイクシーの運転手に大津市歴史博物館に向ってもらうことになった。この展覧会は三井寺とその関連するお寺の仏像が多数展示され、有名な仏像ではないが、なかなかユニークな仏像が多数展示されているので、注目していた展覧会だった。運慶の静岡願成就院の毘沙門天に似た慶派の毘沙門天や鎌倉明王院の肥後定慶作不動明王に似た不動明王や珍しい室町時代の脱活乾漆の宝冠釈迦如来など円珍生誕1200年記念にふさわしい展覧会だった。作品にひとつひとつ大津市歴史博物館の学芸員のキャッチフレーズが書かれているなど展示にも工夫があり十分に楽しめた。この大津市歴史博物館はかねてより、ユニークな展覧会を開催しており注目していた博物館だ。今後機会があればまた訪れようと思った。

2014年11月15日土曜日

延暦寺横川中堂の聖観音

今回の京都・近江の旅では、比叡山延暦寺に行こうと決めていた。その訳は「神
仏います近江」のサイトを見てから憧れていた、横川中堂の聖観音に会いに行くのが目的だった。聖観音は平安時代後期の作で、像高170センチ、左手につぼみの蓮華を持ち、右手の親指・人差し指をまげて花びらを開く姿勢は、平安時代後期に多く造られた仏像の形だ。京都から坂本に向かい、霧の中をロープーウェーであがり、比叡山内シャトルバスに乗って横川中堂に向う。慈覚大師円仁によって開かれた赤色のお堂が見えてきた。静かなお堂の中にガラス張りの厨子があり、その中にお目当ての聖観音が祀られていた。参拝客用に厨子に照明がついており、お堂の中でもよく拝むことができた。思ったより大きいと感じた。比叡山延暦寺はたしか信長の焼き討ちにあい全山消失したと記憶していたが、よく調べてみると横川中堂口を担当したのが豊臣秀吉で、信長の命にそむき寺や僧を逃がしたとのこと。それでこの聖観音も今に伝えられたのだろう。いつまでも居たかったが、東塔(とうどう)に戻るバスの時間もありお堂を後にした。

2014年11月8日土曜日

金剛寺の大日如来・不動明王

今回の京都の旅で急遽拝観を決めたのが、京都国立博物館平成知新館の
彫刻展示室だ。以前、奈良博で大阪南河内の古刹、金剛寺の降三世明王を鑑賞したが京博開催の「京へのいざない展」では、大日如来と不動明王が期間限定の特別出展されるためだ。金剛寺は以前訪れた秘仏如意輪観音で有名な河内長野市の観心寺の近くにあるが、平安時代の大日と鎌倉時代の不動明王・降三世明王が写真で見ると損傷が激しく魅力を感じなかったため訪れなかったが、今回京博の修復が終わり展示されとのこと。ひそかに期待していた。彫刻展示室に向うと真新しい吹き抜け空間に大日如来と不動明王が露出展示されたいた。大日如来は像高3メートルでかなり迫力があり、光背も綺麗に修復されていた。鎌倉時代の不動明王は顔が崩れかけていたものが真新しい仏像のように修復されたいた。京博の修復技術はすばらしく仏像がよみがえったようだ。不動明王は快慶の弟子行快の銘が発見され、仏師が特定された仏像だ。光明寺の千手観音など他にも見るべき仏像は多く、また来たいと感じた京博だった。後ろ髪を引かれる思いで次のお寺に向った。

2014年11月2日日曜日

盛安寺の十一面観音

京都近江の旅二日目は近江の仏像探訪だ。午前中比叡山を見て、西教寺を拝観してから、盛安寺にタクシーで向かった。ここは10月までのご開帳なので、他のお寺を予定していたが、法事のため行けなくなり、ダメもとで電話したところ、窓越しなら拝観可能とのこと。急きょ行くことに決まったお寺だ。行くと収蔵庫の外の扉は開いており、電灯がつけてあった。中に十一面観音や聖観音が祀られていた。かの白州正子が絶賛した十一面観音で。珍しい四臂(よんぴ)の像で、目を閉じて穏やかな顔で二手を合わす姿が慎ましい。隣りの聖観音もかなりの美仏だ。その場を離れたくない思いに駆られながら、次のお寺に向かった。

2014年11月1日土曜日

願徳寺の菩薩半跏像

本日から京都と近江の仏像探訪の旅に出掛けた。今日は朝から京都を巡った。本日の目玉は、私が何年も前から憧れていた、願徳寺の菩薩半跏像だ。タクシーで向かうと、住職が受け付けてくれたが、本堂には一人で入った。仏像好きな私の顔を見て、本尊と2人っきりにしてくれた配慮だったのだろう。住職の指示の通り三つのスイッチを押すと次々と灯りがつき、最後に厨子の中に灯りがつく仕掛けだ。異国風な顔だちや流れる天衣が美しい。いわゆる風がなびく様を見せる風動表現だしばらく見とれてしまい、私は厨子の前に一人佇んだ。